タイトルは「メディアのつくりかた」で、実際各地で作られている紙媒体の紹介をいろいろとしているのだが、改めてメディアというものがただ読まれるためにあるものではなく、「行動を促し、人と人がつながるためのもの」であるかということをとても考えさせられる本だった。

今、全国的に「地方ブーム」が起きているように思う。東京一極集中への疑問もあり、その土地土地の魅力を再発見して発信していこう、的な動きが、政府の予算がついてきたこともあり各地で行われている。ただし、前回のブログで書いたような「ゆるキャラB級グルメ、イベント」といった、短絡的&マネ発想の取り組みも非常に多く(もちろんそういうものだけでなく、戦略的にやっているケースも多いと思うが)、多少の話題にはなっても、継続的にならず、予算がついたときのみの打ち上げ花火的になってしまっているように感じている。

そのような中、じわじわとだが浸透し、実際の効果を上げている事例の特徴として「地域の人が『自分のこと』ときちんと理解して、主体的に取り組んでいる」ことが挙げられるのかな、と感じている。自分たちの地域の状況を理解しながら、そのよさをきちんと見出して、それを悩みながら形作っていく。そういう過程そのものが、成功に導くための重要な要素なんだろうな、ということを強く感じさせられる。

この過程をきちんと踏むために、「ローカルメディア」というのはとても大きな役割を果たしているんじゃないかな。取材活動を通じて、多くの人が関わり、地元の人が自分たちの街を考えるきっかけを作る。そして、その魅力の部分を抽出して、誌面という形で表現する。この繰り返しが、意識を高めることにつながってくる。その「魅力の引き出し方」の部分で、外部の人間が関わることはできる。外からだからこそ見えてくる魅力を指摘したり、そのまとめ方をプロとして教えたり。

この本の中で一番印象的だったのは、「今の時代、クリエイターはコンテンツを生み出すだけでなく、体験を生み出すことが求められているように思う。」という言葉。今ままではどうしても「きれいに見せる」的な部分が強かったように感じるが、これからはより「そのコンテンツでどう人を動かすか」を徹底的に考えて、実行していかなければならない。そういう意味で、クリエイティブとPRというのはより連動していく必要が出てくるように思う。こうやって表現してみたら当たり前のことなのかもしれないけど、クリエイティブはより行動に結び付けるためにPRという手法を活用し、PRはその力をもっと発揮するためにクリエイティブという力を使いこなしていく。このあたりはもっと自分もちゃんと勉強しないとなー。